SMAJ デジタル空間の健全性確保に向けた業界イニシアティブ
プラットフォーム上の情報流通の健全性確保については、令和7年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法に基づき、指定を受けた大規模なプラットフォーム事業者(以下「指定大規模プラットフォーム事業者」という。)において、削除対応の迅速化や運用状況の透明化の取組を進めています。加えて、年々重要性を増す、違法・有害情報や偽・誤情報への対処に当たっては、業界全体が自発的に連携し、これらの課題に対処するための、進化し続ける広範な取組をプラットフォーム事業者間で共有し、必要に応じて相互の対策を参考にすることが有効であると考えています。
総務省「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」において、デジタル空間における違法・有害情報の流通やそれに伴う社会的な影響への対応が国内外で共通の課題となっているとして、その対応策等に係る議論が行われてきました。令和7年9月には、同検討会の中間取りまとめ(以下「中間取りまとめ」という。)が公表され、プラットフォーム事業者の自主的な対応を促す業界団体による枠組みの策定が提言されました。
中間取りまとめにおいては、「リスク軽減措置の実施を促す制度的な対応の在り方」として、「SNS 等のサービスがもたらすリスクへの対応として、業界団体がリスク軽減のための様々な取組をまとめたコミットメント集」を策定することが提言されています。SMAJは、この提言を踏まえ、制度的な義務としてではなく、我々共通の課題に対して、大規模プラットフォーム事業者各社がこれまで先行的かつ自主的に実施し、積み重ねてきた取組をベストプラクティスとして可能な限り整理し、SMAJ 会員企業や SMAJ 会員以外のプラットフォーム事業者が参照することが期待される取組の指針となるよう、本「SMAJ デジタル空間の健全性確保に向けた業界イニシアティブ」(以下「本イニシアティブ」という。)を策定しました。
各会員が提供するプラットフォームやサービスは、テキストコンテンツ、動画や画像の投稿・共有、ニュース配信、ライブ配信に至るまで多岐にわたっており、適用可能な取組もそれに応じて異なります。したがって、各会員はそれぞれのサービス特性や運用状況に応じて、本イニシアティブを自主的かつ実用的なものとして参照し、適切に適用することを期待するものです。
なお、本イニシアティブは、一義的には SMAJ の会員企業が参照することを目的として取りまとめたものですが、SMAJ の会員企業以外のプラットフォーム事業者におかれても、必要に応じて本イニシアティブを参照し、自社のプラットフォームサービス上の情報流通の健全性の確保の参考に役立てていただきたいと考えます。また、発信者を含む一般ユーザー、学識経験者、広告主といったステークホルダーの観点からは、本イニシアティブを通じて各プラットフォーム事業者の具体的な取組についての視認性が高まり、取組に関する理解が醸成されることを期待します。
デジタル空間における課題はグローバル共通で存在するものであり、例えば、国際的なベストプラクティスである Digital Trust & Safety Partnership による Best Practices Framework なども既に策定され、それを踏まえた取組を実施しているプラットフォーム事業者もあります。国際的なベストプラクティスや日本の状況や課題に対応するために取りまとめた本イニシアティブを通じて、責任あるアプローチを採っていくことで、日本におけるデジタル空間の健全性の確保に資するものと考えています。
第1 基本的な考え方
- 健全なデジタル空間確保のための実効性ある取組の実施
- プラットフォームサービスが人々の生活に広く普及している状況に鑑み、本イニシアティブを踏まえ、実効性のある取組の実施に努める。
- 自主性の尊重
- プラットフォーム事業者は本イニシアティブを参照し、各取組項目について、自社のサービスの特性や運用状況に応じて、自主的に取組を行う。
- 柔軟な適用
- 各社のサービスは、その特性等はもとより、取組の効果又は取組の実施可能性にも相違があることを踏まえる。
- 自主的な情報公開及び実施状況の評価
- 各社の取組の実施状況は、各社が自社ホームページなど独自のチャンネル(既存のものも含む。)で自発的に公表することを推奨する。なお、実施状況の評価については、情報流通プラットフォーム対処法も踏まえ、自主的評価の形式とする。
- 透明性・アカウンタビリティの向上
- 既存の各社の取組に関し、できる限り豊富な情報を提供することにより、視認性を高め、ステークホルダーの理解の醸成を図る。
- 関連業界全体による対応の推進
- 指定大規模プラットフォーム事業者を含む各社が既に行っている取組をベストプラクティスとして集約し、相互に参照し合うことで、業界全体で取組を推進する。
第2 本イニシアティブの性質
- 情報流通プラットフォーム対処法との関係
- 本イニシアティブには、情報流通プラットフォーム対処法に基づく義務に関連する事項が含まれる場合があります。それらについては、同法の規定が本イニシアティブに優先します。
- 指定大規模プラットフォーム事業者以外の事業者においては、同法の規定を参考に自社の体制整備を推奨するものです。
- サービスの性質等を踏まえた対応
- 取組項目は、各社のサービスの性質や利用形態に応じて参照いただくことを想定したものであり、全ての取組を完全に採用し実施することを義務付けるものではなく、サービス特性等を踏まえ採用可能な取組の実施を期待するものです。
- また、情報流通プラットフォーム対処法により指定大規模プラットフォーム事業者に対して実施が義務付けられているもの以外の取組項目については、各事業者において、実施することが適切な場合において、自社のサービスの性質や利用形態に応じ、取組内容を判断、実施していただくことを想定しているものです。
第3 取組項目
ここに例示した取組項目は、各会員のサービスに適用される利用規約及びその他のポリシー・ガイドラインに従って実施するものとします。また、実施する具体的な取組は、例示したものに限定されるものではなく、各項目の趣旨を踏まえて実施又は検討するものとします。
1. 違法情報の流通・拡散対策(投稿の削除等の対応の迅速化・透明化)
※ 情報流通プラットフォーム対処法及び関連ガイドラインを参照
① 個人の権利を侵害する情報の削除、アカウントへの対応
プライバシー侵害や名誉毀損など個人の権利を侵害する投稿(以下「個人の権利を侵害する投稿」という。)や悪質な権利侵害行為を行うアカウントに関し、申出者への通知を含め迅速に対応する体制を整備する。また、当該措置の実施状況を定期的に公表する。
② その他の違法情報の削除、アカウントへの対応
利用規約等に基づき、①以外の違法な情報への対応や繰り返し投稿するアカウントに対し、適切な対応を実施する。また、当該措置の実施状況を定期的に公表する。
③ 投稿削除申出の受付方法の整備と明確化
個人の権利を侵害する投稿の削除申出を受け付ける仕組みを設けるとともに、申出者が容易に、かつ電子的に利用できる形で公表する。
④ 投稿の削除対応のための社内体制整備
投稿削除の対応等の手順を社内規程として整備し、適宜、見直しを行うとともに、個人の権利を侵害する投稿への対応申出に対応するための部署を設置し、専門の担当者を配置する。
⑤ 投稿の削除等に関する基準の公表
どのような場合に投稿への対応やアカウント停止等がなされるのか、利用規約やガイドラインにその基準を規定し、公表する。なお、投稿への対応やアカウント停止の基準は、できる限り具体的で、利用者が理解しやすい表現となるよう工夫する。
⑥ 投稿の削除等実施後の発信者への通知
投稿の削除やアカウント停止等の措置を行った場合には、発信者にその理由を通知する。また、投稿への対応やアカウント停止等の措置が行われた発信者に対し、異議申立ての機会を提供する。
2. 偽・誤情報等の流通・拡散対策
2-1 偽・誤情報等への適切な対処
① 偽・誤情報への対応等
利用規約やガイドラインに基づき、公共の安全や健康被害など人の生命・身体に重大な影響を及ぼすおそれのある偽・誤情報への対応、同様の偽・誤情報を意図的かつ反復的に流布するアカウントに対しての適切な措置、又は、削除が困難な場合に注意喚起ラベルやユーザーに追加の文脈や情報を提供する仕組みを導入するといった対応を講じる。
② 組織的偽装行為(影響工作を含む。)に関する情報の削除、アカウントへの対応
例えば、外国勢力による選挙や世論形成への不当な干渉を及ぼす組織的偽装行為に対し、投稿者及び投稿された内容への対応や、繰り返し投稿するアカウントの適切な措置を実施する。また、当該措置の実施状況を定期的に公表する。
2-2 コンテンツ表示に関する情報提供及びユーザーによる管理設定機能の提供
ユーザーが自らのデータがどのように利用されるのかについて情報提供等を行う。コンテンツの推奨表示の仕組みを分かりやすく説明する、又は自らのデータをコンテンツの推奨表示に用いない形での配信の選択を可能にするといった機能を提供したり、ユーザーが自らコンテンツの推奨表示に活用されるデータを調整や削除できる仕様とするなどといった対応を講じる。
2-3 プラットフォーム事業者の役割とクリエイターや利用者からの信頼の確保
クリエイター、利用者及び広告主によるプラットフォームの利用を保護するためのポリシーとガイドラインを策定し、適用する。追加の経営資源、収益化ポリシー及び、収益を得る特権を繰り返し悪用する者へのペナルティ(制裁)の仕組み等を通じて、あらゆる状況において、クリエイターがそれぞれ期待される役割を果たすことができるよう促す。なお、ここでいう「状況」には、日常的な活動に加え、信頼できる情報が特に重要となる大規模な災害やパンデミックなどの社会的な混乱時、及び選挙期間が含まれる。
3. 情報の真正性の向上に資する取組(信頼のおける情報の提供等)
例えば大規模災害・パンデミック等の社会混乱時や選挙時等を含め、ユーザーによる情報の真偽判断に資する、公的機関等の情報の視認性を高める取組や偽・誤情報拡散を抑止するための注意喚起等の取組を行う。
AI や他の技術によって生成、改変又は合成された情報に対して、それが AI 等によって生成、改変又は合成されたコンテンツであることを明示するラベル表示等の方法について、実装に向けた研究開発・検討を行う。
4. ステークホルダーとの連携・協力に向けた取組、ICT リテラシー向上に関する取組
4-1 ステークホルダーと連携・協力、情報の真偽確認に資する取組等
① 多様な視点から情報を補完するユーザー参加型の注釈機能や適切な判断に資する情報の提供
投稿者以外のユーザーが、当該投稿への補足情報や出典を追記できる機能を提供する。又は、ユーザーに追加の情報を提供したり、事象を適切に判断することに資する情報を提供する外部専門機関と協働する。
② コンテンツの来歴(プロブナンス)と真正性の促進
AI 生成コンテンツの検出を支援する技術や、来歴及びコンテンツの真正性に関するその他の技術的ソリューション導入の検討などを行う。
③ 外部の専門機関・研究機関等との連携
研究機関等の外部機関からの調査・研究等のニーズに対し、各社の方針に基づき、情報公開や共同研究等を含む外部機関との協働や情報活用の適切な在り方を検討する。
4-2 ICT リテラシー向上に関する取組
① ICT リテラシー向上に関する取組
ステークホルダーと連携して、インターネット上に流通する情報との向き合い方や自らが情報発信者となる場合の留意点についての情報提供を含む、ICT リテラシー向上に資する啓発活動等の取組を行う。
② 偽・誤情報等に対するリテラシー向上の取組
偽・誤情報が流通していることを前提として、インターネット上に流通する情報の見極め方や、自らが偽・誤情報の発信源や拡散元とならないことについての啓発など、リテラシー向上の取組を行う。
5. ユーザーの真正性の確保
① ボットネット活用を含む情報の悪意ある操作への対策
ボットによる不自然な情報拡散を含む自動化された不正操作を検知・抑止する技術的取組を実装する。
② なりすまし対策、アカウント認証
なりすましの防止に資する認証等の仕組みを実装する。
SMAJ会員企業
ByteDance株式会社(PDF)
Facebook Japan 合同会社
LINEヤフー株式会社 (PDF)
X Corp. Japan 株式会社 (PDF)
Google(Youtube)(PDF)
グリーホールディングス株式会社
ココネ株式会社
合同会社スタープリンス
株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社テラーノベル
株式会社ナナメウエ
株式会社MIXI
株式会社ミラティブ
モイ株式会社(PDF)
株式会社ユードー
株式会社jig.jp
Meetscom株式会社
note株式会社
SHOWROOM株式会社 (PDF)
UUUM株式会社
17LIVE株式会社(PDF)
株式会社Cellest
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